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ユリエスお正月話更新です。
今更正月話ですが少しでも楽しんでくださるといいのですが^^;
しかも現代パラレル。
苦手な方はご注意です!
それでは、下記のリンクからどうぞー。
今更正月話ですが少しでも楽しんでくださるといいのですが^^;
しかも現代パラレル。
苦手な方はご注意です!
それでは、下記のリンクからどうぞー。
『新しい年、輝かしい未来へ』
「そろそろ、でしょうか」
「ん?」
ふいにエステルが読んでいた本から視線を上げた。
「お、もうそんな時間か。ちょうどこっちも出来たぞ」
エステルの声にユーリはガスレンジの火を止める。
どんぶりに鍋の中身を移し、それをもって居間へと向かう。
コタツに入りテレビをつけたエステルの目の前にどんぶりを置くと、彼女は「わぁ」と歓声を上げた。
「年越しそばですねっ」
手を合わせて笑うエステルに満足してユーリもまたどんぶりを置いてコタツにもぐりこんだ。
「今年もそろそろ終わりですね」
「そうだな」
いただきます。と互いに言うとズルズルとそばをすする。
「たくさん、色んな事がありましたね」
「そうだなぁ」
「今年の春から一緒に暮らし始めました」
「エステルの投稿した小説が入選したのは今年の夏だ」
「ユーリだってパティシエとしての力が認められて有名洋菓子店への引き抜きの話がありました!」
「断ったけどな」
「それでも、です」
むんっ、と膨れる彼女に笑う。
「秋には大きな喧嘩をしたなぁ」
「あれはユーリが悪いんですよ」
「そうかぁ?」
「そうです! だから私は別れようと思ったんですから」
「……まぁ…誤解されるような事をしたのは悪かった」
「分かればいいんです」
今度は得意げににっこりと笑う。
笑ったり、怒ったり、泣いたり、たくさんの表情を見せるエステル。
そんな彼女を見ていると愛しさが込み上げてくる。
これまでたくさんの色んな事があって、何度も喧嘩して別れる直前まで行った事もあったけれど、結局はこうして手を取り続けていられた。
いつからだろう。
離れる事など考えられなくなったのは。
一生を共にするのなら彼女と…と節目節目に思うようになったのは。
良い所も悪い所もすべて全部引き受けて、全部背負っていこうと決めた。
「ありがとな」
「はい。私も、ありがとうございました」
にこにこと笑うエステルは、今の言葉が今年一年の挨拶だと思ったのだろう。
もっともっとたくさんの意味があったのだが、気が付かなくてもいいと思う。
感謝の気持ちはこれから何度も伝えればいいのだ。
テレビをみる。
左上に表示された時刻は後数分で新年になる事を知らせていた。
「どうしたんです? ユーリ、あまり食べていませんね」
どんぶりの中身の減り具合を見たエステルが心配そうに眉を顰める。
当のエステルはと言うとすでに残り僅かという所だ。
「美味かったか?」
「はい! とっても美味しかったです! さすがユーリですね!」
料理が苦手なエステルはあまり家事をしない。
というか、ユーリがさせていないといった方が正しい。
彼女が包丁を握れるのはユーリが一緒にいる時だけという決まり事があった。
なぜならば、エステルは料理が下手だった。
音痴ではないだろうが、とにかく危なっかしい。
以前、やると言うので任せたら両手が血だらけになっていて悲鳴をあげた事があったのだ。
それからと言うもの絶対に一人では包丁は握らせないと誓ったのは今となってはいい思い出だ。
そんな事もあり家事担当はもっぱらユーリが担当していた。
「来年はもっと料理の腕を上げたいです」
「そうだな」
頷きながらも、また一分時間が進んだのを見て僅かに緊張が走る。
「ユーリ、なんだか変ですよ?」
「そうか?」
「ええ。なんだかいつも以上に無口です」
「そんな事はないと思うぞ」
「・・・そうですか?」
じーっとこちらを見つめるエステルに苦笑を零した。
「ほら、もうすぐカウントダウンだぞ」
「あ!」
テレビでタレント達がカウントダウンに向けて盛り上げている。
30秒前!の掛け声にますます緊張する。
「15秒前です!」
興奮した様子を見せるエステルを見つめた。
ポケットの中に隠してあったものを取り出して握り締める。
コタツに入っていたせいで暖かくなっている事を気に掛ける暇もなく、10秒前の掛け声によし、と改めて気合を入れた。
「5・・・4・・・3。 ・・・? ユーリ?」
ぐいっとエステルの手を取る。
驚いたエステルがユーリの名を呼んだ時にテレビは0をカウントしていた。
そんな事よりも、握った左手の薬指に先ほど握り締めたものを通す。
「え?」
「エステル、結婚しないか」
状況を理解していないのを承知で早口で言う。
いや、早口になってしまったといってしまっても過言ではない。
そんなユーリの真剣な眼差しに、エステルの大きな瞳が大きく見開かれたまま微動だにしなかった。
「エステル」
もう一度名を呼ぶと、エステルは瞬きをする。
瞬きを繰り返すたびに表情が歪み、ついにはその瞳から涙が零れ落ちた。
「きゅ、急に、何を言うんですか」
「そうだな」
「まだ、おめでとうも言っていません」
「・・・そうだな」
すっかり忘れていた。
ユーリは苦笑する。
「でも、私もユーリと結婚したいです!」
そうして伸ばされた指を取り、逆の手で体を引き寄せて抱きしめた。
「嬉しいです、ユーリ」
「俺もだ」
ひとしきり抱き締めあって彼女の涙が乾く頃、エステルが今まで見た中で一番の笑顔を浮かべた。
「ふふふっ。明けましておめでとうございます、ユーリ」
「おめでとう、エステル」
「今年一番初めの、幸せな出来事になりましたね」
言われて初めてそういえばそういう事になるのかと思い至る。
「一生忘れられない一年になりそうです」
目じりに残った涙を親指で掬い取る。
エステルのその言葉だけで、もう胸が一杯になった。
「・・・ああ。そうだな」
何度目かの頷きを返しユーリは笑みを浮かべて桃色の唇に己のそれを寄せた。
*****
久しぶりの更新はプロポーズ話でした。
おかしい。
私が目指すユリエスは両片思いなのに(笑)
ユーリにしてはロマンチストだったかなと思いつつ。
ユーリだから気障な事も出来るのかなと思ったり。
でも、コタツでそばですけどね(笑)
それにしても・・・変なタイトルでごめんなさい^^;
苦手なんですよ、タイトルつけるのが。
ではでは。
また次回に^^
「そろそろ、でしょうか」
「ん?」
ふいにエステルが読んでいた本から視線を上げた。
「お、もうそんな時間か。ちょうどこっちも出来たぞ」
エステルの声にユーリはガスレンジの火を止める。
どんぶりに鍋の中身を移し、それをもって居間へと向かう。
コタツに入りテレビをつけたエステルの目の前にどんぶりを置くと、彼女は「わぁ」と歓声を上げた。
「年越しそばですねっ」
手を合わせて笑うエステルに満足してユーリもまたどんぶりを置いてコタツにもぐりこんだ。
「今年もそろそろ終わりですね」
「そうだな」
いただきます。と互いに言うとズルズルとそばをすする。
「たくさん、色んな事がありましたね」
「そうだなぁ」
「今年の春から一緒に暮らし始めました」
「エステルの投稿した小説が入選したのは今年の夏だ」
「ユーリだってパティシエとしての力が認められて有名洋菓子店への引き抜きの話がありました!」
「断ったけどな」
「それでも、です」
むんっ、と膨れる彼女に笑う。
「秋には大きな喧嘩をしたなぁ」
「あれはユーリが悪いんですよ」
「そうかぁ?」
「そうです! だから私は別れようと思ったんですから」
「……まぁ…誤解されるような事をしたのは悪かった」
「分かればいいんです」
今度は得意げににっこりと笑う。
笑ったり、怒ったり、泣いたり、たくさんの表情を見せるエステル。
そんな彼女を見ていると愛しさが込み上げてくる。
これまでたくさんの色んな事があって、何度も喧嘩して別れる直前まで行った事もあったけれど、結局はこうして手を取り続けていられた。
いつからだろう。
離れる事など考えられなくなったのは。
一生を共にするのなら彼女と…と節目節目に思うようになったのは。
良い所も悪い所もすべて全部引き受けて、全部背負っていこうと決めた。
「ありがとな」
「はい。私も、ありがとうございました」
にこにこと笑うエステルは、今の言葉が今年一年の挨拶だと思ったのだろう。
もっともっとたくさんの意味があったのだが、気が付かなくてもいいと思う。
感謝の気持ちはこれから何度も伝えればいいのだ。
テレビをみる。
左上に表示された時刻は後数分で新年になる事を知らせていた。
「どうしたんです? ユーリ、あまり食べていませんね」
どんぶりの中身の減り具合を見たエステルが心配そうに眉を顰める。
当のエステルはと言うとすでに残り僅かという所だ。
「美味かったか?」
「はい! とっても美味しかったです! さすがユーリですね!」
料理が苦手なエステルはあまり家事をしない。
というか、ユーリがさせていないといった方が正しい。
彼女が包丁を握れるのはユーリが一緒にいる時だけという決まり事があった。
なぜならば、エステルは料理が下手だった。
音痴ではないだろうが、とにかく危なっかしい。
以前、やると言うので任せたら両手が血だらけになっていて悲鳴をあげた事があったのだ。
それからと言うもの絶対に一人では包丁は握らせないと誓ったのは今となってはいい思い出だ。
そんな事もあり家事担当はもっぱらユーリが担当していた。
「来年はもっと料理の腕を上げたいです」
「そうだな」
頷きながらも、また一分時間が進んだのを見て僅かに緊張が走る。
「ユーリ、なんだか変ですよ?」
「そうか?」
「ええ。なんだかいつも以上に無口です」
「そんな事はないと思うぞ」
「・・・そうですか?」
じーっとこちらを見つめるエステルに苦笑を零した。
「ほら、もうすぐカウントダウンだぞ」
「あ!」
テレビでタレント達がカウントダウンに向けて盛り上げている。
30秒前!の掛け声にますます緊張する。
「15秒前です!」
興奮した様子を見せるエステルを見つめた。
ポケットの中に隠してあったものを取り出して握り締める。
コタツに入っていたせいで暖かくなっている事を気に掛ける暇もなく、10秒前の掛け声によし、と改めて気合を入れた。
「5・・・4・・・3。 ・・・? ユーリ?」
ぐいっとエステルの手を取る。
驚いたエステルがユーリの名を呼んだ時にテレビは0をカウントしていた。
そんな事よりも、握った左手の薬指に先ほど握り締めたものを通す。
「え?」
「エステル、結婚しないか」
状況を理解していないのを承知で早口で言う。
いや、早口になってしまったといってしまっても過言ではない。
そんなユーリの真剣な眼差しに、エステルの大きな瞳が大きく見開かれたまま微動だにしなかった。
「エステル」
もう一度名を呼ぶと、エステルは瞬きをする。
瞬きを繰り返すたびに表情が歪み、ついにはその瞳から涙が零れ落ちた。
「きゅ、急に、何を言うんですか」
「そうだな」
「まだ、おめでとうも言っていません」
「・・・そうだな」
すっかり忘れていた。
ユーリは苦笑する。
「でも、私もユーリと結婚したいです!」
そうして伸ばされた指を取り、逆の手で体を引き寄せて抱きしめた。
「嬉しいです、ユーリ」
「俺もだ」
ひとしきり抱き締めあって彼女の涙が乾く頃、エステルが今まで見た中で一番の笑顔を浮かべた。
「ふふふっ。明けましておめでとうございます、ユーリ」
「おめでとう、エステル」
「今年一番初めの、幸せな出来事になりましたね」
言われて初めてそういえばそういう事になるのかと思い至る。
「一生忘れられない一年になりそうです」
目じりに残った涙を親指で掬い取る。
エステルのその言葉だけで、もう胸が一杯になった。
「・・・ああ。そうだな」
何度目かの頷きを返しユーリは笑みを浮かべて桃色の唇に己のそれを寄せた。
*****
久しぶりの更新はプロポーズ話でした。
おかしい。
私が目指すユリエスは両片思いなのに(笑)
ユーリにしてはロマンチストだったかなと思いつつ。
ユーリだから気障な事も出来るのかなと思ったり。
でも、コタツでそばですけどね(笑)
それにしても・・・変なタイトルでごめんなさい^^;
苦手なんですよ、タイトルつけるのが。
ではでは。
また次回に^^
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