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期間限定部屋

期間限定でSS書いたり、ネタバレ感想書いたりしている部屋。 その時その時で旬ものは変わる…予定

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遅くなりました!

ついうっかり寝てしまってました^^;
TOGをプレイしていたんですけど、コントローラーを握ったまま^^;
コントローラーの電源入れたら、戦闘中だったので仲間が戦闘不能になっていたという・・・。

さて、それはさて置き、ユリエス創作であります!
過去に書いてきたユリエスのお話の最終話になります。
多分単品でも読めます。

では、どぞ!


『キミの心まで、あと0㎝』






 まさかと思った。
 何が起こったのか分からなかった。
 触れた唇の温もり。
 それが離れて、ユーリの顔がはっきり見えるようになって初めて、何をされたのかを私は知った。

 心臓が、壊れそうっ!

 私は胸元を両手でつかんで信じられない思いでユーリを見上げた。

 

 

「大丈夫か?」
 覗き込まれた顔はまだ近く、エステルは動揺のあまり無言で何度も頷いた。
 その様子がおかしかったのか、ユーリは小さく噴出して笑う。
「あんまり振ってると、首取れるぞ」
「!」
 慌てて首を振るのをやめて、ぬくもりが触れた唇を両手で覆った。
「ユ、ユーリ・・・今・・・」
「ん? うん」
 「うん」じゃないです! と、言いたいのに言葉が出なくて涙目になる。
 どうして急にこんな事をしたのか分からなかった。
「・・・嫌だったか?」
 ふいに真剣な眼差しに変わってどぎまぎとしながらも、反射的に首を横に振った。

 そう。嫌な訳じゃなかった。
 どうしてなのか分からなくて、戸惑ってはいたが嫌ではないのだ。
 素直に喜べないのはユーリの気持ちが分からないから。
 ユーリは今まで一度だってエステルに特別な好意を向けているそぶりをしてこなかった。それがなぜ、急にこんな事をするのか。

「な、なんでこんな事・・・」
 からかってだったらどうしようと、そう思ったら酷く心が痛んだ。
 ユーリはそんなエステルの心境を察したのか困ったように笑った。

 珍しいそんな笑みにエステルは眉尻を下げる。
「私・・・何かしてしまいましたか?」
 ユーリを困らせてしまうような何かを。
 不安になって見上げると、ユーリは違うと首を横に振った。

「エステルは何にもしてねぇよ」
「そ・・・そうでしょうか・・・・・・」
「何かしたのは俺だろ?」
「そ、それは・・・っ」

 すぐさま唇に先ほどの感触が戻ってきてかぁっと頬が熱くなる。
 そうして俯くと、ユーリの大きくて優しい手が髪に触れた。
 つん、と引っ張られて、顔を上げるよう催促をされている事に気が付くが、こんな顔を見せられないと応じずにいると、さらに数回引っ張られえてエステルは観念して視線を上げた。
「・・・なんです?」
「うん」
 そのまま黙り込むユーリ。
「ユーリ?」
 名前を呼ぶと、やはり困ったように目じりを下げる彼。
 いったいどうしたと言うのだろう。
「からかってないからな」
 ふいに紡がれた声に目を瞬く。
「キス」
「!」
「意味、分かるな?」
 つまりは、そういう事なのか。
 瞬時にその答えにたどり着いて歓喜に心が震えたが、ちゃんと言葉にしてくれないことに頬を膨らませる。
「・・・わ、分かりません。そんな言葉じゃ、分かりません」
 分かっていて分かりませんと言った事に気が付いているんだろう。ユーリは小さく笑う。
「仕方のないお姫様だな」
 そんな、いつも通りのからかい口調に不満を覚えながらエステルは顔を背けた。

 すごく、すごく大事なことなのだ。
 ずっと、夢に見ていたことなのだ。
 そんな一言で終わらせてほしくなかった。
 同じ気持ちを抱いているのならきちんと言葉にしてほしい。
 瞼が熱い。
 唇が震えそうになって必死にかみ締めて堪えた。

「・・・ちゃんと、言ってくだ・・・っ」
 震えそうになる言葉を一生懸命紡ぎだした時、そっと背中を引き寄せられる。
 額に触れたのは漆黒の服。
「悪かった」
 小さな吐息。
「・・・エステル、好きだ」
 次いで耳元に囁かれた言葉にとうとうエステルの目じりから堪え切れなかった涙が溢れた。
「ユーリ・・・私も、あなたが・・・・・・」
「ああ」
 同じ想いだと告げると、優しい腕がさらにエステルの腕を引き寄せて先ほどよりもきつく抱きしめられる。
 まるで縋られているようだと思いながらも、エステルもまたユーリの背中に腕を回した。

 

 

 

 

 

 ついに言ってしまった。
 己の手がけして綺麗ではなく、それどころか血塗られていると言うに、この身を抱きしめる温もりの優しさに抗いきれなかった。
 選んだのはエステルだ。
 けれど、選ばせたのは俺だ。
 そしてまた、俺も選んだ。

 胸中にある後悔を拭いきれないけれど、もう、この血塗られた手すら躊躇いなく包み込む小さな手を放すなんて事はできないのだろう。
 自然と笑が込み上げる。

 それも、いいのかもしれない。

 俺は諦めにも似た気持ちを抱きながらエステルを抱きしめる腕に力を込めた。





*****
これにて連作お題『あと、すこし』は終了です。
もっと、内容を詰めて書くべきだったと思っています^^;
次はもう少しマシなのが書けるといいな。

では、また次回にお会いしましょう!


お題お借りしました。
配布元:ペトルーシュカ
ありがとうございました。

 

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自己紹介:
突発的な萌えの発露を行う部屋です。
なので、その時その時でメインで扱うジャンルは変わると思われます。

現在は図書館戦争。


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