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予告からそう時間が掛からずにupです!
ユリエスで前回の続き。
若干分かりづらい所もありますが、単品でも読めますよん。
それでは早速どうぞ!
『キミに伸ばした手が触れるまであと10㎝』
手を伸ばす。
あと少し。あと少しと思うのに、その10㎝が縮められなくてもどかしい。
だって、ドキドキするんです。
ユーリの温もりを感じたら、きっと心臓が壊れちゃいます。
大きく息を吸って吐く。
ああ。ユーリが怪訝そうに見ている。
でも、こればっかりはしょうがないんですっ!
「どうしたんだ? さっきから」
「い、いえ・・・」
誤魔化すように視線を逸らして、エステルはユーリの視線から逃げる。
「何か困った事があるんなら言えよ」
ぽんぽんと頭を叩く。
エステルが躊躇する距離を簡単に飛び越える彼が憎らしいと少し頬を膨らませた。
「なんだ? ご機嫌斜めか?」
「ユーリ!」
からかわないでくださいと怒ると、「悪い。悪い」と軽い口調で謝られる。
こちらがどれだけユーリを想っているのか知らないで。
今だってこんなにドキドキしている。
頬が熱い。
きっと頬が赤くなっているだろう。
分かっているから、彼の顔を見ることが出来ない。
「そういえば、今日はどうしてハルルに?」
誤魔化すようにハルルの木を見上げた。
ピンクの花びらがひらひらと舞う。
「ちょっと、な・・・」
「?」
彼にしては歯切れの悪い言い方に首を傾げた。
「ギルドのお仕事です?」
「いや・・・」
どうしたのだろうかとユーリを見上げると、彼はハルルの木に真剣な眼差しを向けていた。
「ユーリ?」
呼びかけると、しばらくして大きく息を吐いた彼は少し困ったように眉を下げてエステルを見る。
「いざとなると難しいもんだな」
「なにがです?」
「エステルはすごいよな」
「ユーリ?」
何を考えているのか分からない。
「・・・座るか」
「はい・・・」
ユーリはどうしたのだろうか。
素直に座ったものの、エステルは脳内に「?」が浮かんでばかりだ。
「俺も一応それなりにいろいろあったんだけど、こんなに緊張した事はなかったなぁ」
「ユーリでも緊張するんです?」
巨大な敵にも怯まず立ち向かっていった彼にも緊張する事があるのか、と妙な感心をしてしまう。
「そりゃ俺だってな」
首を竦めて小さく笑う。
「怖いと思う事だってあるし、できたら避けたい事だってある」
「・・・でも、ユーリはいつも逃げませんでした」
何に対しての言葉なのか分からなかった。それでも、エステルの知っているユーリはいつだってどんな絶望的な状況でも乗り切ろうとする強さを持っていた。
「そうだったかな」
「そうです!」
強く頷くと、ユーリは何の含みのない笑みを浮かべて笑った。
そうしてまた、ぽんぽんと頭を叩かれる。
「ありがとな」
その優しい声に、落ち着いていた心臓がまた騒ぎ始めた。
頬がまた熱くなってきて慌てて俯く。
「・・・反則です。ユーリ」
「ん?」
こちらの気持ちなど気が付いていないのだろうユーリはきょとんと目を瞬いていた。
ああ。
彼は私が戸惑う距離を簡単に飛び越えてしまうけど。
私には難しい事なんです。
でも。だけど。
勇気を出して、後10㎝・・・!
*****
第3話目にあたるお話です。
今ちょっと乗っているので、すぐ次のお話も書けるかも?
次はユーリのターン!
頑張って書いてきます!
それでは!
お題お借りしました。
配布元:ペトルーシュカ様
ありがとうございました。
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