忍者ブログ
HOME Admin Write

期間限定部屋

期間限定でSS書いたり、ネタバレ感想書いたりしている部屋。 その時その時で旬ものは変わる…予定

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ささのはさ~らさら~♪


と言う事で、一日遅れの七夕話でございます。
堂上夫婦がのんびりと語らいます。


読んでくださる方は下記のリンクからどうぞ~。











「今年の七夕も天気悪かったね」
「梅雨だしな。しょうがないだろう」

 七夕の翌日、曇り空の広がる空を見上げながら郁は眉を下げた。

「残念だなぁ」
「なにが?」

 ソファで新聞を読んでいた夫である堂上が顔を上げる。

「だって、会えなかったんだよ。織姫と彦星」

 くるりと振り返り、堂上の隣へと腰をかけてぴったりと側面を合わせた。
 甘えるように寄りかかる郁の頭を軽くなでてくれる。優しい夫だ。
 
「一年に一回しか会えないのに、その一回はかなり高い確率で曇りだったり雨だったりして、いっつも会えないじゃない。ここ何年か晴れた日ってあったのかなぁ。もう何年会ってないんだろう。あたしだったら寂しくてしんじゃいそう」

 そんな事をぽつりと呟くと、堂上の体が小刻みに震えた。なんだろうと思えば、どうやら笑っていたみたいで、郁はむすっと不機嫌顔になった。

「もう! なんで笑うの? 篤さんは寂しくないの?」
「いや。そりゃ寂しいけど。・・・そもそも織姫と彦星は自業自得だろう。お互いにやるべき事をやらなかったんだから」
「! でも、一緒にいるのが楽しくて何もかも見えなくなっちゃうの、・・・分かるもん」

 少し照れくさくなって郁は頬を染める。そんな郁の頬をなでて堂上は「かわいい」と囁く。さらにキスをしようと唇を寄せてきた夫を、さらに頬を赤く染めた郁が「恥ずかしい事言わないで!」と言いながら堂上の体を押しやった。

 人一人分のスペースを空けて座りなおして、尚も続ける。
 今度は堂上が不機嫌顔だ。

「とにかく! 原因はどうあれ!」
「棚上げか」
「うるさい! ・・・・・・一年に一回しか会えなくなっちゃって、しかも雨が降ったら天の川の水が増水して渡れなくなっちゃうんだよ」
「曇りの日は会ってるんだろ?」
「え? そうなの?」
「雨の日は天の川の増水で渡れなくても、曇りの日は大丈夫だろ。却ってギャラリーがいないから思う存分いちゃついていると思うけどな」
「ギャラリーってなに? 誰の事?」

 きょとんと首を傾げる郁に堂上はため息を吐いた。

「おまえみたいなデバガメの事だよ」
「えー! あたし覗き見なんてしてないっ!」
「そうか? 昨日の夜なんて何度もカーテン開けて空を見上げてたじゃないか」
「それは・・・っ!」

 確かに昨夜は何度も何度も空を見上げては星明りのない夜空をがっかりした気持ちで見ていたけれども。

「それに昨日の夜は曇りだったぞ」
「え! うそ!」
「雨が降りだしたのも確か夜半過ぎからだったし、無事渡り終えた後だろ」
「そっかー。なら良かった」

 会えたのなら、それでいい。郁は嬉しくてにっこりと笑う。

 ふいに堂上が郁の腕を引き寄せ、開いたスペースを詰められる。
 再びぴったりと体を寄せ合ってくっついた。

「篤さん、暑くないの?」
「問題ない」

 その日の不快指数は75から79パーセント。
 だが、二人の間には不快指数なんてものない。

 郁は自分からも堂上に腕を回す。

「あたしきっと、一年に一度しか会っちゃだめって親に言われても、こっそり抜け出して篤さんに会いに行くと思う」
「俺だって一年に一度なんて冗談じゃない。こっそり抜け出して時々会うだけじゃ足りない。おまえをさらって逃げてやるさ」

 言い切られ、郁はどきりと胸をときめかせた。
 あーもう! そんな事さらりと言うなんて! だから篤さんは王子様なんだよ! 
 胸中でじたばたと暴れる。
 あふれ出る想いを留める事が出来なくて思わず腕に力が篭った。

「どうした?」

 にやにやと笑う顔。
 分かっているのだと察し、郁は頬が赤いままむくれた。
 ここで反抗するのはいつもの事だから、今日はちょうっと違う方向から行こう。と思ったのだが、さすがにちょっと恥ずかしくて口ごもった。

「・・・・・・だ、だいすき」

 やっとの思いと告げると、今度は堂上の顔が赤くなった。

「なっ! バッ! おまえ!」

 言葉にならない言葉を発した堂上がおかしくてしてやったりと郁は笑う。
 だが、堂上が郁の体を抱き上げ、真正面に向き合う形にさせられてから緊急事態に陥った事を知らせた。

「ちょっ、篤さん!?」

 たんま!と声をかけて腕を突っぱねようとしたが、行動を予測していた堂上は難なく郁の腕を捕らえて、抱き込んでしまう。

「なんでこんなに急なの!?」

 堂上の瞳から発せられる色はすでにほのぼのと談笑をしていた時のものではない。

「おまえが可愛いのが悪い。いい加減、諦めろ」

 そう耳朶を甘噛みされて囁かれてはとろけないはずがない。
 郁はたくさんの文句を飲み込んでしまったのだった。





*****

昨日は七夕でしたねー。
っていう話でした(笑)

これを書き終わった直後からセミの鳴き声を聞きました!
今年初!

もう夏だねぇ~。

拍手[37回]

PR

この記事へのコメント

お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
 管理人のみ閲覧

この記事へのトラックバック

トラックバックURL:

カレンダー

04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

プロフィール

HN:
かなた藍
性別:
非公開
自己紹介:
突発的な萌えの発露を行う部屋です。
なので、その時その時でメインで扱うジャンルは変わると思われます。

現在は図書館戦争。


ブログ内検索


アクセス解析

カウンター


Copyright ©  -- 期間限定部屋 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by 押し花とアイコン / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]