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第4話になるユリエスです。
続き物ですが単品でも読める・・・はず。
それではどぞ!
『キミにキスできるまであと5㎝』
手を、握られた。
正しくは裾だったが。
当の本人は俯いて、一目で緊張していますと語っていてそれがなんだか可愛かった。
エステルはいつもそうだ。
俺が踏み込むのを戸惑っていると、自分から飛び込んでくる。
本当にすごい。
だから、俺は・・・。
「どうした?」
心なしか声が優しいんじゃないかとユーリは思う。
それはしょうがないだろう。なんて自分で言い訳をする。
なんせ、惚れた相手が自分を意識して緊張しているのだと思えば嬉しくない訳がない。
「いえ・・・その・・・」
短い髪の隙間から見える耳が真っ赤だった。
エステルからは明確な言葉が中々出てこなかったが、裾を握った指の強さを見ればとりあえず放す気はないのだろうと知れて思わず笑みが浮かんだ。
こんな顔、他のメンバーに見られたら笑いものにされそうだな、なんて思いながらユーリはエステルの白い手袋に包まれた手を握り返した。
びくりと肩が震えた。
本当に、素直な反応だ。
こんな風に態度に出ていればすぐに分かってしまうというのに。
それとも、そもそも隠す気はなかったのか。
そんな事はないだろうと思ったのだが、思い返せば旅の間特別隠しているような様子はなかった気がする。
ただ、態度が顕著になったのは旅を終えてからだったという事で。
旅の間と終えてからとその間に何があったのかは分からないが、根が素直だからこうして隠し切れずに出てしまった。というのが正しい気がする。
なんで、こんな子が己のような男に惹かれたのだろうか。
ユーリの中では本当に不思議でならなかった。
きっと彼女ならフレンのような実直な男の方が似合うのだろうに。
人の縁とは本当に分からないものだ。
かく言うユーリ自身も、まさかエステルに惹かれるとは思っても見なかったのだから。
「ユ、ユーリ」
ゆっくりとエステルの顔が持ち上がってユーリを見上げる。
「なんだ?」
「・・・ハルルの花、綺麗ですね」
「・・・・・・そうだな」
まるでエステルの髪の毛のようなピンクの花びら。
小さくて、くるくると風に舞いながら落ちてくるそれ。
まるでエステルのようだと思う。
「エステル、顔真っ赤」
「ええっ!」
ユーリが握っていない方の手で頬を包むエステルの、その慌てぶりでおかしくてつい笑ってしまった。
「わ、笑わないでくださいっ」
「はははっ。悪かったよ」
「もう・・・」
拗ねてしまったようだ。
そっぽを向いてしまったエステルの手を引っ張る。
「エステル」
「・・・・・・・・・・」
「エーステル」
「・・・・・・・・・・」
うんともすんとも言わない彼女にどうしたものかと思案する。
照れているだけなのかもしれないのだが、このままでは埒が明かない。
そうして思いついた方法に我ながら苦笑せずには居られなかった。
けれど、言葉にするよりも簡単かも知れない。
「エステル」
「えっ?」
ぐいっと手を引く。
さっきよりも強く引いたから驚いたのだろう。バランスを崩したエステルは驚いたように目を見開く。
そんな彼女を抱え込んで顔を近づけた。
「っ!!!」
こんなに近くで見たのは初めてかもしれない。
大きく見開かれた翡翠の瞳が綺麗だと思った。
そして、触れた唇の柔らかさ。
もう一度触れたいと思っても当然だと思う。
俺は、驚きに固まったエステルに笑みを浮かべながらもう一度その桃色の唇に顔を寄せた。
*****
はい。という訳で、第4話目でございます。
あと1作でこのお話は終わりです。
毎度短い話なのにupが遅くて申し訳ないです。
ようやくというか、二人が絡んで嬉しい限りです^^
でも、私好物の両片思いが書けなくてもどかしい・・・。
それに、エステルが可愛く書けている自信がありません^^;
可愛く書けるように頑張りますわ!
それでは、また次回に!
お題お借りしました。
配布元:ペトルーシュカ様
ありがとうございました。
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