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『やさしいひと』の続きです。
腹を据えて書いていいって言ってくれた方がいたので、腹据えちゃう(笑)
ありがとうございます~^^
ちょっと考えながら書く事になりますので、他のお話を書きつつ、続きを書いていこうと思います。
深い話や複雑な話は書けないタイプなので、お気軽にお付き合いくださいませ^^
では、下記のリンクからどうぞー。
腹を据えて書いていいって言ってくれた方がいたので、腹据えちゃう(笑)
ありがとうございます~^^
ちょっと考えながら書く事になりますので、他のお話を書きつつ、続きを書いていこうと思います。
深い話や複雑な話は書けないタイプなので、お気軽にお付き合いくださいませ^^
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片目が覆われている状態というのは思いのほか面倒だった。
視界が狭い、という事よりも距離感が計れない事が一番の問題だった。
さすがに傷に菌がついて化膿したり、それ以上の事態になっては大変なので今回ばかりは眼帯をしない訳にもいかず、郁は何度となく憂鬱なため息を吐いた。
「傷が痛むのか」
隣の席で事務処理をしてた手塚がそれに気が付いてこちらを伺う。
「ううん。痛くないけど、不便でさ」
「そうか」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
それだけかよ!
そのまままた自分の作業に戻ってしまった手塚に郁は内心突っ込みを入れる。
もうちょっとこう・・・何かないのか。
そう思いながらも、手塚に励まされる自分もなんだか気持ち悪くて結局の所何も返さずに郁も作業に戻った。
しばらく書面とにらめっこをしていたが、郁は再び息を吐いて立ち上がる。
「わっ!」
その時、左足を椅子に引っ掛けて体のバランスが崩れた。すぐさま下から抱えるように腕が伸びてきて驚く。
背中を支えられてどきりとした。
「大丈夫か」
やっぱり、そうだった。
郁は支える堂上を振り返った。
左目を覆っているのでどうしても大げさに振り返らないといけないのがもどかしい。これだと隠したい表情も隠しきれない。
「だ、だいじょうぶ、です」
ありがとうございます。とお礼を言うと、ようやく堂上の手が背中から離れた。
「どこか行くのか」
「はい。飲み物でも入れようかと思って」
「俺も行く」
「え! いいですよ、そんな」
「俺もコーヒーを入れに行くついでだ」
「だったらあたし、入れてもって行きますよ?」
仕事の多い堂上に気を使ったつもりだったが、堂上はなぜがひどく目を吊り上げる。
「片目ふさがれた状態でまともに持ってこられるか! 零すなり落とすなりして被害を広げるだろ、おまえは!」
「ちょっ! それ失礼じゃないですか! 大丈夫です! 堂上教官のお世話にはなりません!」
お互いムキになって言い合えば、堂上の向かいの席から「ぶっ!」と噴出す声が聞こえて堂上が眉をしかめた。
「とにかく行くぞ!」
「だから大丈夫ですってば!」
腕を引っ張られ給湯スペースに向かう。
「おまえ、できるのか?」
「出来ますよ。たぶん」
「多分てなんだ。・・・俺が入れる。どれだけ入れるのか言え」
「そんなの悪いです!」
精一杯抵抗をするのだが、結局カップを奪われ、郁は堂上にコーヒーを入れてもらう事になった。
「砂糖は?」
「えーっと・・・これくらい、です」
「・・・入れすぎだろ・・・これは」
驚愕に口を開く堂上に膨れる。
「いいんです! これで!」
「・・・ミルクは?」
「・・・・・・たっぷりでお願いします」
「これくらいか?」
「う~ん、もう少し・・・はい! それぐらいで!」
郁の分を入れると、堂上は自分の分を手早く入れて二人分のカップを持った。
「きょ、教官! 自分のは持ちます!」
「おまえが持てば絶対に転ぶし零す」
「だからなんでそれ前提なんですか!」
納得いかない!と文句も言いながらも、結局席まで運んでもらってしまった。
郁はありがとうございます。と頭を下げて席に座る。と、堂上がそれを見守ってから自分の椅子に座った。
やっぱりだ。
堂上はずっと郁の様子を伺っている。
怪我をした郁が不便に思わないようにしてくれているのだろう。
だが、そうされるのは正直つらい。
自分の不手際で怪我をしたのだ。失敗をして気を使われるのは嫌だった。
郁は再びため息を吐く。
左目が使えない為、右目に掛かる負担が大きいのか、左目の瞼だけでなく右目が痛い。こんな状態では当然警備の仕事も出来る訳もなく、こうして書類を片付けるしかなかった。
そう。堂上班は警備のシフトから外されていた。
郁の怪我が完治する一週間の間、内勤を命じられたのだ。郁を除く三人は訓練に参加もするが、当然郁は大人しくしていなければならない。
自分のせいで自分が責任を負うならいい。
けれど、自分のせいでみんなが責任を負う事がひどく申し訳なくて自責の念が絶えなかった。
ふいに瞼が熱くなる。
込み上げそうになる嗚咽をかみ殺して、郁は堂上が入れてくれた砂糖とミルクがたっぷりのコーヒーを飲む。
苦味が一切ないコーヒーの、そのまろやかな甘さに肩の力が抜けた。
郁は真後ろの席で、背中合わせに仕事をする上司の気配を背中で追う。
堂上が入れてくれたコーヒーというだけでほっとしてしまう事が悔しくて、郁は気が付かれないように唇をかみ締めたのだった。
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先行き未定で始めていいのだろうかと少しばかり不安ですが、最終的に目指したいところは決めているので、書ければいいなぁと思っています。
よろしくお願いしますね^^
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