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図書館戦争を読んでいるおかんですが、ちょうど手塚からの申し出をお断りしたところまで読んだらしいです。
堂上教官の片思いは分かるんだけど、まだまだみたいね。
と、相変わらず笑いそうになる感想を聞いております(笑)
やっぱり教官、最初っから郁ちゃんが好きだったんじゃん!
酸いも甘いも経験している大人の女性がみたら教官の気持ちなんで透けて見えるのね(笑)
ちょっかい出したくても何かと理由が必要で大変よねぇ~。
とまぁ、そんなところで、「背くらべ」の完結編ですー。
とはいってもちょっとしたおまけというかまとめというか・・・そんな話です。
読んでくださる方は下のリンクからどうぞ。
堂上教官の片思いは分かるんだけど、まだまだみたいね。
と、相変わらず笑いそうになる感想を聞いております(笑)
やっぱり教官、最初っから郁ちゃんが好きだったんじゃん!
酸いも甘いも経験している大人の女性がみたら教官の気持ちなんで透けて見えるのね(笑)
ちょっかい出したくても何かと理由が必要で大変よねぇ~。
とまぁ、そんなところで、「背くらべ」の完結編ですー。
とはいってもちょっとしたおまけというかまとめというか・・・そんな話です。
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くしゅん。と、郁は小さなくしゃみをした。
まだ冬というには早く、秋と言うには寒さが身にしみ始める頃。
くしゃみの余韻で僅かに震えたのを見た堂上が手に持っていたコートを郁の肩に掛けた。
「きょ、きょうかん。大丈夫です! あたし寒くないですよ」
慌てて脱ごうとするが堂上が「いいから着てろ」と強く言い聞かせる。
「風邪をひかれたらかなわん」
季節の変わり目は気をつけなければいけないんだぞ。と真面目に言う堂上のその気持ちが嬉しくて郁は笑みを浮かべた。
分かりました。と頷きながら、同時に郁はすでに過去になった『いつか』を思い出した。
「教官、覚えていますか? 前にもこうしてコートを掛けてくれた事があったんですよ」
「そうだったか?」
首をひねり、考えるそぶりを見せる。
正直なところ、当時の醜態を思い出すのは自分自身も痛いので覚えていないのならそれでもいい、と思っていた。
だが、堂上は「ああ」と頷いて郁を見た。
「思い出した。ミスを連発したから説教した時だろ」
「・・・・・・グサグサと痛い事ではあるんですけど間違っていないです」
表情を歪めた郁に堂上は笑う。
「しょうがないだろ、あの時は。様子がおかしいのは分かっていたが、ミスをして利用者に不愉快にさせていたんだからな」
「それは・・・・・・はい。すみませんでした」
項垂れる。
堂上は今もまだ本気で反省をしている郁の頭を撫でた。
「まぁ、でも昼休憩の後から持ち直したからな。頑張りに免じてもう不問にしてやる。元気出せ」
「・・・・・・はい」
大きな手に頭を撫でられ、はにゃりと表情が崩れる。と、突然デコピンをされて郁は額を押さえてしゃがみこんだ。
「な、何すんですか! 痛いです!」
「お前が悪い」
「ちょっ! どういうことですか!」
理由を尋ねても頑固にも口を割らない堂上に郁はふてくされるように口を尖らせる。
「なんだ。キスをして欲しいのか?」
「!!!」
俺はそれでもいいぞ。とからかい口調で笑う堂上に今度こそ郁は折れた。
「・・・こんな往来はイヤです」
「そうか」
あっさりと引く堂上に、少しばかりがっかりしつつ郁はそうじゃなくて、と話を戻す。
「あの時の教官、落ち込んでいるあたしにコートを貸してくれたんですよね」
「別に慰めようと思ったわけじゃない。風邪をひかれたらかなわんからだ」
頑なにもう一度同じ言葉を言う堂上にもうそれでいいですとやっぱりふてくされる郁に苦笑を零す。
「心配だからに決まってるだろ、バカ」
コツン、と軽く頭を叩かれる。
「えへへ」
と、笑う郁に堂上は「またお前はそんな顔で・・・」と呟いたが、最後までは聞き取れなかった。聞き直しても堂上は笑うばかりで応えてくれない。
「・・・あの後、コート着たまま図書館に戻ったら小牧教官に会ってすごく爆笑されたんですよね。で、それを見た教官があたしからコートをひったくったのを見てさらに笑われて、その上持ってたコンビニ袋を見て『本当にめんどくさい』って一言言って去って行かれた時は本当に呆然としました」
「・・・小牧の上戸は放っておけ。 ・・・・・・・・・・・・それよりもお前、あの時何かに悩んでいたのか?」
「!」
うっと肩が強張る。
出来たら思い出したくもない出来事の一つに郁は「えーと・・・」と言葉を濁した。
「・・・・・・笑わないですか?」
あの時はどうしても言えなかった不調の理由。
でも、関係の変わった今なら言えるかもしれないと恐る恐る郁は尋ねた。
「内容にもよる」
堂上の優しくない応えに眉を寄せると「冗談だ」と頭を小突かれた。
「理由があるなら言え。あの時はそれなりに心配したんだぞ」
「・・・・・・あの・・・そんなにたいそうな理由があるわけじゃなかったんです。でも、あの時は自分のペースが分からなくなるくらいにはショックだったんです」
それで?と、堂上は視線で先を促す。
「・・・その、教官が背の低い女性にレファレンスをしているのを見て・・・ショックを受けました」
「は?」
「・・・・・その人、堂上教官よりも背が低かったんです。覚えていませんか? ・・・あの時、二人が並んでいる姿がすごく理想的な身長差で、あたし羨ましくて・・・・・・」
堂上の様子を伺う。
堂上はあんぐりと口をあけて郁を凝視していた。郁の視線を受けて我に返ったのか、堂上は咳払いをした後、顎に手を当てる。
「そんな事あったか?」
「あったんです!」
「おぼえてない。・・・にしてもお前、相手は利用者だろ」
「しょうがないじゃないですか! 羨ましいものは羨ましいんです!」
「・・・そうか」
ぼりぼりと頭をかく。
「で、機嫌が直ったのは何故なんだ?」
「・・・教官も、きっと背が低い女の人の方がいいんだろうなって思っていたら悲しくなってきちゃったんですけど、その時にちょうど教官が来てくれたんですよ」
後は教官も知っている通りです。と、はにかみながら言う。
「教官があたしの事を気にしていてくれた事や、後は、コート」
ぎゅっと、今、郁の肩に掛けられたコートを握る。
「教官、知ってますか? 背は、私の方が高いですけど肩幅は教官の方が広いんですよ」
「そりゃ、俺は男だしな。背はおまえよりも低いが体格は負けんだろ」
「そうですけど、それだけじゃなくて・・・」
上手い言葉が見つからなくて言葉を濁す。
「あたし、なんで教官より背が高いんだろうって思ってたんです。教官はきっと小さい人の方が好きだろうなって思ってました。だから、嬉しかったんです」
郁は頬を染めてはにかむように笑った。
「あたし、教官よりも小さいんだって」
告白して、すっきりしたとばかりに郁は息を一つ吐く。が、堂上がなんら反応を返さないことに不安になって隣を伺った。
「きょ、教官?」
「・・・・・・郁」
「は、はい!」
低く、うなるような声に驚いて郁はビクリと体を震わせて背筋を伸ばした。
やはりこんな理由でミスを連発したなんて説教ものだろうかと覚悟を決めたところで、頬に堂上の固い掌の感触を感じて目をぎゅっとつむった。
叩かれる。そう思って衝撃に構えていたのに。
「苦情は後で聞く」
その低い囁きに問いかける言葉は外に出ることはなかった。
*****
これにて『背くらべ』は終了です!
思いのほか続き物になってびっくりしました(笑)
ちょっとは甘い堂郁が書けたかな~?
これからも精進をしたいと思います!
では、また次回に^^
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