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期間限定部屋

期間限定でSS書いたり、ネタバレ感想書いたりしている部屋。 その時その時で旬ものは変わる…予定

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先日書いたお話の教官サイドです。

そういえば、面白いから読んでみてとうちのおかんに図書館戦争を貸したんですよ。

ちょうど今手塚に努力をしない奴は云々とやり込められている所まで読んだらしいんですけど、そこまで読んでどう?と感想を聞いたところ。


教官は郁を意識しているけど、郁はそんな感じがないからこの後どうなっていくのかしら。
だそうです。
そしておかんは手塚が好きらしい(笑)
いい味だしてるね!と、高評価でした。

それにしても・・・教官の気持ちはツツヌケだな(笑)
三分の一の時点ですでにそれが見えているとかただ漏れもいいところですよ、教官!!(笑)


さて、それはともかく、お話を読んでくださる方は下のリンクからどうぞ^^









 様子がおかしい。
 それに最初に気が付いたのは、「もういい」と貸し出しカウンターから聞こえてきた男の声でだった。
 大きくも小さくもない声だったが、なにせもともと静かな図書館だ。利用者が少ない平日はさらに普通の声でも響く事もある。

 今日の貸し出しカウンターには図書館業務が苦手な郁が担当していた。
 何かやらかしたのかと振り向けば、案の定、不機嫌な顔をした男性の利用客が手ぶらで貸し出しカウンターに背を向けた所だった。
 足早にその男性の元に行き、「失礼いたします」と声をかけると、視界の隅で郁がしまったと腰を浮かせるのが見えた。今にもこちらに飛び出してきそうな様子を見て「来るな」と視線だけで伝える。

 利用者はまだいるのだ。
 郁が今抜け出せば、他者にしわ寄せが行きそれだけ業務が滞る。
 なによりも上司の自分がいるのだから、こちらは任せておけばいいのだ。

 貸し出し処理が遅いと叱責され、頭を下げる。
 人が途切れたその合間で速やかに希望の書籍の処理をして持っていくと、その男性は仏頂面でありながらも「ありがとう」と多少は機嫌を直して立ち去った。

 郁はどうしているだろうかと伺えば、いつもよりも冴えない顔色でどこか焦りのようなものが浮かんで見えた。
 落ち着こうとしているのか何度も深呼吸をしているのも見える。

「どうしたんだ、あいつは」

 朝の時点では苦手な業務ゆえに憂鬱そうにはしていたが、いつもと変わりない明るい表情を見せていた。
 それに、いくら苦手な業務とはいえ図書隊に入ってから3年が経過している。
 それなりに慣れてきていたというに。

 堂上はその後も郁の様子を伺いつつ、自分もまた業務へと戻った。



 ミスを一つもせずになんでもこなす事が出来るのなら、それに越した事はない。
 だが、人間誰しも完璧ではない。ミスをしないものなどいないのだ。
 ミスをする事事態を責めたりはしない。大切なのはミスをした事で、何を学ぶのか、という事だ。同じミスをしない為に、どうしたらいいのかと考える事だ。

 考えて行動しても何度も同じ失敗をしてしまう事もあったとしても、本人が反省し少しでも進歩しているのなら認めたいと思ってる。

 だが、今回はどうだ。
 堂上は努めて冷静に郁を図書館員室に呼び出した。が、そこまでだった。

「なにをやっとるんだキサマは!」

 開館から僅か三時間あまりの間に、郁は3回も同じミスをした。
 気が抜けているとしか思えない有様に思わず手が出る。

 郁はそんな堂上に反論もせずにただ項垂れて頭を下げるだけだった。
 必死に泣くまいとこらえているのが目に見えて分かると、堂上は込み上げた激高が少しずつ落ち着いていくのを感じた。

 分かっている。
 郁だって好きでミスを重ねていた訳ではないのを。

 いつだって一生懸命で、自分に非があれば素直に認めて改善に努める。苦手であっても自分に出来る事を精一杯やる。そんなまっすぐな性格の持ち主なのだ。

 だからこそ、今回の初歩的なミスのには何か訳があるのではないだろうか。
 だが郁は、一瞬息を呑む様子を見せても何も語らずに頭を下げただけ。

 何か困っているのなら力になりたいと思っているのに、こうして黙られてしまったら何も出来ないではないか。

 堂上は無力な自分にため息を一つ吐いた。

 せめて、何かの窮地に陥った時に自分の存在があるのだと覚えていて欲しくて堂上よりも5㎝も高い位置にある頭を撫でる。
 瞬間、何かを堪えるかのようにぎゅっと目を瞑った郁を、どうしようもなく抱きしめて慰めたくなったのを拳を作る事で耐えた。




「堂上、どうだった?」

 先に図書館員室を出た堂上は、思わず大きなため息が漏れたところで堂上班の副班長である小牧に声をかけられた。
 やはりミスを重ねる郁を気に掛けていたらしい。
 堂上は無言のままに首を横に振る。

「体調が悪い訳ではないらしいだが…」
「そうなんだ」

 どうしたんだろう、とちらりと扉を見る。

「わからん。――小牧、俺はコンビニに行って来る」
「ん? ああ、もう昼休憩だね。食堂にしないの?」

 二人揃って歩きだす。
 小牧の指摘に堂上は眉を寄せる。

「気分だ」
「ふ~ん?」

 特に追求される事もなかったが、意味ありげな声に堂上は足を速めた。頭…というよりも衝動を落ち着かせたいなどと言ったらどんな事を言われるか分かったものじゃない。とにかく、爆笑される事だけは確かだとまた深く眉間に皺を寄せた。
 と、背後から聞こえてきたドアが開く音に足を止める。
 暗い表情を浮かべたままの郁がこちらに気が付くこともなく出入り口へと向かう姿が見えた。

「重症、だね」

 困ったように苦笑する。

「ここは班長の出番じゃないかと思うんだけど」
「さっき怒鳴りつけたばかりなのに、か?」
「う~ん……でもきっと大丈夫だと思うよ」
「その自信はどこから来るんだ」

 呆れたように言う堂上に小牧は笑うだけで答えはなかった。

「コンビニには俺が行くよ。堂上は笠原さんを見ていたほうがいい。あの様子は少し心配だし、堂上も気になるでしょ」
「……………しらん」
「無理しちゃって」
「無理なんぞしてない!」
「はいはい。それじゃ、行って来るね」

 言いたい事だけ言って小牧は颯爽と立ち去っていった。

 本当に無理なんかじゃなかった。
 そもそも、あの笠原があのままでいる訳がないのだ。今は何かに躓いているようだが、きっと、堂上の力がなくとも自力で立ち上がる。
 そんな奴なのだと堂上は確信していた。

 だが。

「この真冬でなんつう格好をして外に出ているんだ、あのバカは」

 風邪をひかれたら適わない。
 堂上は足早に郁に背を向けると更衣室に向かった。

 今、この場に小牧がいたらきっと笑われるのだろう。そんな言い訳がないと動けないなんて面倒な事だね、と。

「…ほっとけ」

 眉間に皺をよせ、想像の中の小牧に悪態をつく。

 いつか、そんな面倒な『言い訳』がなくても、つらい思いをしている郁の傍に行ける日が来るのだろうか。そんな事を考えて、堂上はため息を一つ吐いたのだった。





*****

そしてこの後自分のコートを取りに行って戻ってきた頃に小牧も戻ってきて、堂上が手にしたコートをみておもむろに笑い出し、誤魔化すように自分で着るんだと堂上は館内だというのにコートを羽織るのですよ。
それがまた小牧さんの爆笑をさそって、キレた堂上は小牧さんの手からご飯を奪い取って図書館の外に。
そして郁サイドの展開が待っているのであった。

なーんてこんな説明入れるなら、それを話しに起こせよ!
と突っ込まれそう(笑)

すいません。
もう少し続きます^^;

次こそ完結!


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自己紹介:
突発的な萌えの発露を行う部屋です。
なので、その時その時でメインで扱うジャンルは変わると思われます。

現在は図書館戦争。


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