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記念すべき一作目!
ありがちなテーマです^^;
たくさんの方がたくさん書いていると思うのですが、私は私で書かせていただきたいと思います!
まだ、他のサイトさんをほとんど歩いていないので、似ている話だとしてもどうか見逃してください・・・^^;
という事で、読んでくださる方は下のリンクからどうぞ。
時期は革命後のあたりかな。
恋人同士です。
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時期は革命後のあたりかな。
恋人同士です。
「っつ!」
一瞬の熱。その後に訪れた一線の赤。
その痛みにうっかり手の力が緩んで持っていた書類がバラバラと机や床に落ちた。
「わっ。やっちゃった」
慌てて拾い集めようとして、じわりと滲み出る血に気が付いて動きを止める。
このままでは書類に血がついてしまうと、これまたわたわたとティッシュがしまってある引き出しを開けた。
業務終了後、すでに誰もいない特殊部隊事務室で少しだけ残業をしていた郁は、最後の書類の整理をしていた。
本当なら定時に上がれるはずだった。だが、業務中にミスをしてしまいその後処理が思いの他時間がかかり、残業となったのだ。
班長である堂上は呆れながらも終わるまで待っていてやる、といつものように頭を優しく叩いた。
その堂上も席を外していて、今、事務室には郁一人だ。
戻ってくる前に終わらせてしまおうと張り切ったはいいものの、最後の最後で紙で指を切ってしまった。
こういうのって地味に痛いのよねーと傷口にそれを当てる。
あっという間に血をしみ込んだティッシュは鮮明な赤に彩られた。
ぎゅっと押さえつけて、しばらくしてから止まったかな?と傷口を確かめる。だが、押さえるものをなくした傷口からは最初こその勢いはなかったもののうっすらと赤を敷いた。
これくらいの傷なら絆創膏はいらないが、書類に血がつくのはまずい。
迷った末に絆創膏で保護する事に決めて、またもや机の中から自前の絆創膏を取り出す。
戦闘職種の事務室なので、もちろん救急箱は常備されている。
だが、大なり小なり傷の絶えない毎日を送っている郁は、せめてと絆創膏くらいならと持ち歩いていた。
自分の些細な失敗で事務室の備品を使うのは申し訳ない気持ちでいっぱいになるのだ。
「よっ…と」
利き指を怪我したのでちょっとやりづらかったが、なんとか巻きつけて「うん」と頷く。さて、それでは書類を…というところで「なにをしている?」と怪訝な声が聞こえて郁は顔を上げた。
「おまえはまた…なにをしているんだ」
散らかった書類を見て盛大な呆れ顔でため息を吐いたのは席を外していた堂上で、郁はヤバっと慌てて椅子から立ち上がろうとした。
「いや! これはその! 手が滑って! い、いまかたしますから!」
が、書類を踏んだ足が滑って立ち損ねたあげくバランスを崩した。
「ぎゃっ」
「郁!」
堂上が手を伸ばそうにも入り口にいたので間に合わず、郁は床へと尻餅をつく。
「いったーっ!」
「バカ! なにしてるんだ!」
慌てて駆け寄った堂上が郁を助け起こした。
「お前はそう、なんで落ち着きがないんだ」
「す、すみません。ありがとうございます」
背中に添えられた手。掴まれた右手首。
ふいの接触にどきりと鼓動がなる。
堂上とは恋人で、デートする時には手をつなぐ事が常であるのに、何度触れられても慣れない。
醜態をさらした恥ずかしさだけではない理由で頬が熱くなる。
「大丈夫か?」
「は、はい」
思いの他近い場所から聞こえてくる声に、互いの近さを実感して顔を上げられない。
手を離してくれないかな、とちらりと堂上を見る。が、その顔に…いや眉間に刻まれた皺に郁はどうしたのだろうかと首を傾げた。
「これ、どうした」
掴まれた手首を引き寄せられ、渋い顔をした理由を悟る。
「こ、これは、紙で切りました」
「紙?」
「書類を整えていて…」
「血が滲んでる」
「こういうのって、地味に止まらないんですよね。なので絆創膏をはりました」
すぐに止まります。大丈夫ですよ?と、安心してもらいたくて笑うと、堂上は小さく息を吐いた。
「気をつけろ」
そういってそっと手を包まれて、一気に頬に熱が集まった。
「きょ、教官っ」
「なんだ?」
赤くなった郁を見て堂上が笑う。
「しょ、書類、拾わないと」
「…そうだな」
そうして、二人で散らばったままの書類を集めて順番に並べる。
隣で確認している堂上の手を頬の赤みが取れぬまま見つめた。
「教官」
「なんだ?」
「手、見せてくれませんか?」
「手?」
「だめですか?」
「だめじゃないが…」
そういって出された手を郁は己の手と重ねた。
「なんだ?」
「大きさ比べです」
あ。眉間に皺が寄った。
郁は笑う。
恐らく背が郁の方が高いので、掌の大きさまで負けているのでは、と思ったのだろう。
だが、その手は実は郁よりも少し大きい。
170㎝と女性にしては背の高い郁と、165㎝の男性にしては少し…背の低い堂上。
手の大きさも郁の方が大きいのかというと、手だけは違う。足もだが。
指は、郁の方が長い。でも掌は堂上の方が大きかった。
華奢な郁の指と違い、堂上の指は太い。
掌の厚さも郁とは比べ物にならないくらい厚い。
この手に、たくさん助けてもらった。
辛い時も、悲しい時も、苦しい時も。
いつも、いつだって郁を励ましてくれた。そして、喜びもたくさんくれた。
大事な、大事な手。
「……反則だぞ、その顔は」
ふいに呟かれた声に視線を堂上に向けると、郁の手を絡めとり顔を寄せられた。
何をされるのか察した瞬間慌てた郁が整えて机に置いたばかりの書類を再び乱した。
「こ、ここ事務室ですよっ」
「誰もいない」
「でも…っ」
尚も言葉を続けようとした唇を、堂上のそれが塞ぐ。
深くなるのかと、緊張に身を硬くするが予想に反してその唇は優しく何度も啄ばむぐらいだった。
だが、最後に離れる直前はしっかりと重ねあわされる。
離れた瞬間、小さく息を吐いた。
「そんなに硬くなるな」
苦笑されて、郁はむくれる。
「そんなの、無理です」
好きな人とキスをするんだもの。
口には出せず、そのままもごもごと濁した。
「それにしてもお前…また拾い集め直しだぞ」
「え? きゃあっ」
見れば、乱れた書類は再び床にまで落ちてしまっていて郁は慌ててしゃがみこむ。
「きょ、教官のせいですよっ!」
「もとはお前が業務中にミスをしたせいだろ」
「そこまで遡りますか!」
ひどいです!と、むくれながら拾い集める横で堂上は笑う。
「やっぱりかわいいな、おまえ」
「!!!」
郁はかき集めた書類を三度落としたのだった。
*****
教官! 一応まだ業務中!
という事で、初堂郁でしたー。
こんな感じでいいのかしら?
若干教官がデレすぎのようですが、長い片思いがようやく報われて脳みそがハッピーになっているだけなので許してあげてください(笑)
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