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実はこれ、お題を使ったお話の前振りだったのでした。
実際にまだそのお題は使っていないし、今後使うかは未定。
いつか書けたらいいなぁ^^
ユリエスで、若干レイリタ表現ありです。
読んでくださる方は下記のリンクからどうぞ^^
「あ、あの!」
その声を上げたのは帝都ザーフィアスにて勤務中の副帝エステリーゼ姫だった。
『たまたま』帝都にやって来た元学術閉鎖年アスピオの魔導士リタ・モルディオと彼女を帝都まで送り届けた凛々明星のメンバージュディスの二人は、エステリーゼ姫ことエステルの元に訪れ、その来訪を喜んだエステルは三人でお茶にしましょうとにっこり笑った。
しかしその笑顔もつかの間、他愛のない事に花を咲かせていたはずのエステルは時折ぼーっとしてはため息をつく事を数回。
さすがにその様子に気が付いたリタとジュディスは顔を見合わせた。
その時である。
思いつめた様子で立ち上がったエステルがいつもよりも大きめに声を上げたのは。
「どうしたのよ」
リタはその必死な様子に驚いく。
「あの・・・っ」
かぁっと頬を赤く染め、言い辛そうに言葉を詰まらせるエステルにジュディスはピンと来たが、何も言わずに口元に笑みをしいた。
「エステル?」
まだ何を言いたいのか分からないリタは訝しげに眉を寄せる。
「あの・・・あの・・・っ」
相変わらず本題に入れないエステルの声は段々と小さくなった。しまいには「やっぱり言えません!」と頬を両手で覆って椅子に座って肩を落とした。
「なんなの?」
困ったようにジュディスを見るリタに、彼女は「ふふふ」と笑みを零す。
「何よ、その笑み。あんたは分かったって言うの?」
「なんとなく、だけれどね」
「ほ、本当ですか?」
さらに頬を真っ赤に染めるエステル。
「あ。もしかしてユーリに聞いたのです?」
「直接聞いた訳ではないわ。彼がカロルに今度ハルルに行くって言っていたのを聞いただけよ」
「は?」
恥ずかしいとばかりに顔を覆うエステルとは逆に、リタは相変わらず状況が飲み込めずに二人の話に表情を歪めた。
「リタ、あなたもっとこっち方面に鋭くならなきゃ、あの人を落とせなくてよ」
「はぁっ! ちょっ! 何言ってんのよ! 誰があんなおっさんっ! ・・・って、ちがーう!」
少しばかり呆れ気味にため息を零すジュディスにリタは思わず反論するが、余計な一言も言ったことに気が付いてすぐさま首を振って否定する。
そんな二人の初心な反応が微笑ましい。
「わ、私のことはいいのよ! それよりもユーリがハルルに行く事と、エステルがこんな状態なのにどんな関係があるわけ?」
「あ、あの・・・実は・・・」
「デート、するんでしょ?」
まっすぐに切り込んだジュディスの言葉に桃色の髪を揺らしながらエステルはこくりと小さく頷いた。
「デート?」
「は、はい」
リタが訝しげに繰り返し、その言葉にエステルは恥ずかしげに微笑む。
「え? 今さら?」
思わず言葉に出てしまったのも無理はない。
なぜなら。
「あんたたち付き合ってるんでしょ?」
そうなのだ。
この副帝を担う姫とギルド凛々の明星のメンバーであるユーリの二人は紆余曲折を経て想いを交し合った恋人同士なのだ。
それが今さらデートでこの有様とはいったいどういうことなのか。
「そ、そうですけど! その・・・デートは初めてなんです」
「今までだって二人でどこかに出かけたりしたんでしょ? それってデートじゃないの?」
「あら、リタ。付き合う前と付き合ってからじゃデートの内容だって変わるのよ。エステルが戸惑うのも無理はないわ」
「変わるって・・・何が変わるのよ」
「それは・・・あなたも恋人が出来ればわかるわ」
「なによそれ」
「ふふふ。頑張ってね」
含みのある笑みにリタは立ち上がる。
「だからっ! あんなおっさんに興味はないわよ!」
「あら。私は『おじさま』なんて一言も言っていなくてよ」
「!!!」
「私応援してます、リタ!」
「応援なんてしなくていい!」
猫が毛を逆立てるように眉を吊り上げ、口を大きく開いたリタはこれ以上口を開くものかとばかりにきっちりと唇を結びそっぽを向いてしまった。
「しょうがないわね」
ふふふ、とジュディスはその一言でひとまずリタの話題から離れることにした。
「それで、エステルは何を戸惑っているのかしら?」
「あの・・・どうしたらいいのかと思って」
「今まで通りでいいんじゃないかしら?」
「でも! お、お付き合いをしているからにはお付き合いをしているなりのデートというものがあるのでは、と・・・。私の持っている本には載っていなかったものですから」
「ユーリに任せればいい気もするけれど・・・」
「私、何でもユーリにまかせきりです。それじゃ、ダメな気がするんです」
「そう・・・」
おそらく、エステルが求めていることはエステルが思うほど難しくはないのだろう。だから、ユーリに任せればいいのではと思ったのだが、彼女は彼に気を使わせてもらってばかりなのが気になるということか。
「でも、どうしたらいいのか分からなくて・・・」
「そうね・・・」
ジュディスは考える。
おそらく、これを実行すればエステルの望み通りにはなるとは思うが、それに少しばかり付随するものがあるかもしれない。
それはある意味、男側からすれば願ったり叶ったりなのかもしれないが。
「まぁ、それでもいいのかしら・・・」
そうする事で二人の仲が良い方向に深まるのなら、とジュディスは口を開いた。
「分かったわ。『デートの心得』を教えるわね」
「ジュディス! ありがとうございます!」
にっこりと微笑むと、エステルが両手を合わせて歓喜の声を上げる。
「それじゃ、さっそくその1・・・」
そうして始まったジュディス先生の講習会。
我関せずの姿勢を貫いているはずのリタがこっそりこちらの話を聞いていることに気が付いてジュディスは口元に笑みを浮かべたのだった。
*****
ここから本来はお題話がつづくはずだったんですが^^;
予定は未定と言う事で(笑)
ではでは。また次回!
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